こんにちは。アスレティックトレーナーの岡野です。
ここ最近、トレーニングやリハビリ、コンディショニングをする1つの方法として「呼吸」が注目されています。
なぜ呼吸が?と思う方もいるかもしれませんが、
呼吸は人間のいかなる活動においてもベースとなるカラダの機能であり、身体や心の状態も呼吸によってコントロールされているといっても過言ではありません。
そのため、「パフォーマンスが安定しない」「動作の質が悪い」「慢性的な痛みが続いている」「ケガをしやすい」「緊張しやすい」といったアスリートは呼吸に問題を抱えている可能性が高いです。
もちろん、アスリートだけに限らず一般の方でも肩こりや腰痛といった慢性的な痛みや疲れやすいなどの身体の状態、睡眠不足や睡眠の質が低いといった方は呼吸の影響を受けている可能性が高いです。
なので、パフォーマンス向上にもコンディションの維持・向上にも呼吸が重要とされており、アスリートや一般の方問わず、呼吸のエクササイズをする方が増えてきています。
*もちろんnomaでのエクササイズでも「呼吸」に重きを置いてトレーニングをさせていただいています。
ただし、現実的には90%の人が呼吸に問題を抱えていると言われています。
スポーツ医科学の研究が進み、トレーニング理論や方法、栄養の重要性、ストレッチやその他コンディショニングツールの情報といった身体に関する情報は数多く手に入るようになりましたが、呼吸に関する情報はそれらに比べるとまだまだ広まっていないように感じます。
そこで今回からはなぜ「呼吸」が大切なのか。呼吸がパフォーマンスやコンディショニングにどのように関わっているのかということを話していき、少しでもこの「呼吸の重要性」が広まっていただければと思います。
*この記事は3000字です。
呼吸の役割
それではまずは「呼吸」を知っていきましょう。
呼吸の最も大きな役割は「脳」と「身体」に酸素を供給することです。
脳は24時間365日、ヒトが死ぬまで働き続けます。
- 内臓や筋肉の動き、ホルモンの分泌や血液循環といった恒常性を保つための調整(恒常性とは?)
- 姿勢を保ったり運動をしたりといった身体のコントロール
- 感情のコントロール など
人間が生きるために必要な活動は、ほぼ脳によってコントロールされています。その為、脳が適切に働き続けるためには酸素は必要不可欠です。お腹が空くと、動きが鈍くなったり、感情の変化がおこったりすると思いますが、脳も一緒で酸素が不足すると段々機能が正常に働かなくなってきます。
また、筋肉が動くためには「ATP(アデノシン3リン酸)」というエネルギーが必要になります。このATPは身体の中で作られていますが、このATPを作る材料の1つが酸素です。
なので、筋肉を動かすATPを作るにも酸素が必要になってくるので、呼吸によって体内(細胞)に酸素を供給し続けないといけません。
その為、呼吸機能が低下し脳や身体に供給する酸素の量が減ると、脳は疲弊して心身ともに緊張状態になり身体をうまくコントロールできない状態になってしまいます。そういう状態になると運動機能や免疫機能、消化機能などが低下し、ヒトがもっている能力が十分に発揮できなくなると言われています。
酸素が供給できなくなれば死に至り、供給量が少なく慣れば身体はコントロールできなくなる。
ここが冒頭で言った、「呼吸は人間のいかなる活動においてもベースとなる身体の機能」と言われる理由です。
ヒトが健康でいたり、パフォーマンスを発揮するためには「呼吸」が良い状態を保っていることが前提条件です。
なので、
- いくら食事に気をつけても
- 運動の質や量にこだわっていても
- ストレッチやマッサージといったカラダのケアを行なっていても
呼吸の状態が悪く、酸素がうまく供給できない状態になっているとしたら、それらの行っている取り組みがいい方向へ向かわない可能性が高くなります。
たった呼吸の状態が悪いだけで…です。
なので、パフォーマンスの向上やケガの予防、健康の維持やダイエットといった身体に何かしら刺激や変化を加えて状態を変えるときは、「呼吸の状態が適切か」を含めて考える必要があるということです。
呼吸の状態が悪くなると…
先ほど、脳に供給する酸素の量が減ると、
「脳は疲弊して心身ともに緊張状態になり身体をうまくコントロールできない状態になる」
と説明してきました。このような状態になってしまうと、身体はさまざまなところに影響を及ぼします。
『新しい呼吸の教科書』という本の中では、息の吸いすぎ(呼吸過多)が酸素を脳や身体に供給しづらい状態にし(次回話します)、下記のような影響を及ぼす可能性があるとまとめられています。
1.呼吸のたびに首や肩周りの筋肉が過剰に働き、姿勢の乱れや身体を支える能力が低下する
2.血中を流れる二酸化炭素の低下によって、細胞への酸素供給量が減る低酸素症を引き起こす
3.免疫力が低下する
4.炎症反応がコントロールできなくなる
5.交感神経が優位になり緊張状態、不安感、恐怖感が増加する。
6.神経伝達が阻害され、体の動きが悪くなる
7.血管が収縮して血流が悪くなり、手足が冷たくなる
8.消化器への血液供給が減り、消化不良が起こる
9.交感神経が過剰に働き、副交感神経の働きが鈍くるため、疲れがとれなくなる
10.横隔膜の収縮性が弱まり、呼吸が浅くなる
11.過剰な胸式呼吸によって、姿勢や動きが乱れる
12.神経系の緊張が高まるため、音や光に対し過剰に反応しやすくなる
13.ストレス耐性が低下し、ネガティブ思考、怒りやすくなるなどの精神的変化が起きる
森本貴義、近藤拓人(2018)『新しい呼吸の教科書』、ワニブックス P34-35
詳しいプロセスはまた後日まとめていきますが、
このように呼吸の状態が悪いということは、身体のさまざまなところに影響を及ぼしてしまう可能性があります。
まとめ
今回は呼吸が身体に与える影響をまとめていきました。
呼吸の状態によっては、いくらトレーニングを頑張っても栄養をとっても、ケアに時間を割いても身体が整わない可能性があります。
では、「どういった呼吸の状態だといけないのか」というのを次回まとめていきたいと思います。
【参考文献】
1.パトリック・マキューン(2017)『トップアスリートが実践人生が変わる最高の呼吸法』、かんき出版
2.森本貴義、近藤拓人(2018)『新しい呼吸の教科書』、ワニブックス
3.大貫崇(2019)「呼吸力」こそが人生最強の武器である、大和書房
【合同会社noma】
都内や埼玉、神奈川を中心にパーソナルトレーニングを行なっています。
「なりたい自分、ありたい自分へ。」をコンセプトに、
- トップアスリートからスポーツ愛好家まで、スポーツにおけるハイパフォーマンスを追い求める人
- 仕事や家事・趣味など、身体に対して日々安定したパフォーマンスを求める人
を対象として、アスレティックトレーナーがトレーニング・リハビリテーションを通し、その人の「なりたい自分」「ありたい自分」に向けて共に試行錯誤しながら成長する場を目指しています。
nomaでは筋力や可動域向上や身体の使い方の改善といったスポーツのパフォーマンス向上はもちろんのこと、身体の悩みや痛み・不調に対して、エクササイズを通して「根本的な原因」にアプローチし、身体機能や姿勢の改善をしながら目標に向けてアプローチさせて頂きます!(お身体でお困りの方は相談から承ります。)
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